先ほどまで小雨が降り続いていたが、どうやら止んだようである。
見上げると、どんよりとした雲が大空を覆っている。
このまま晴れるのか、また降ってくるのか、どちらとも言えない空模様である。
梅雨が続いている7月上旬の朝。
桂島緑地の睡蓮の花が咲いているという話は聞いていた。
足もとが悪そうなので、長靴をはいて出かけることにした。
傘、傘はどうする?
少し悩んだが、傘は荷物になるので、持たない事にした。
上の堤の南側に、睡蓮の群生している場所がある。
群生と言ってもそれほど多いわけではないが、この緑地の中では、ここが一番密集して咲いているようである。
この場所にはちょっとしたスペースがあり、木製のベンチが置かれ、散歩の途中で休憩できるようになっている。
さらに、ここからの見晴らしが良く、対岸の広場も見渡すことができるし、睡蓮の花を間近に見ることもできる。
睡蓮について、「コトバンク」のサイトには以下のように記されている。
スイレン科スイレン属の水生植物の総称。
コトバンク<睡蓮>デジタル大辞泉の解説
池・沼に生え、円形または卵形の基部に切れ込みのある葉を水面に浮かべる。
夏、白・黄・赤色などのハスに似た花を水面上に開き、朝夕開閉する。
温帯産のものから熱帯産のものまで、品種は多い。
日本ではヒツジグサが自生。
「睡蓮」と言う名前には、その花の特徴から名付けられた由来があるという。
睡蓮の花が朝に開き、夕方に閉じる。一つの花がこの開閉を3回繰り返す。
この開閉する動きを動物の睡眠に喩えて、日中は花が開く事を「目覚める」と表現し、夜に閉じる事を「眠る」と表現するところから「睡眠する蓮」で「睡蓮」と名付けられたそうである。
3日間だけしか花が開かないと思うと少し寂しい感じもするが、次から次へと蕾が大きくなり、順番に開花していくので、いつでも花を見ることができるようである。
ちなみに、「睡蓮(スイレン)」と「蓮(ハス)」の違いをご存じだろうか。
簡単に言うと、「睡蓮」は花と葉が水面に浮いていて、「蓮」は花も葉も水面から立ち上がったところにある。
また、「睡蓮」の葉は丸い形の中央に切れ込みがあり、「蓮」の葉も丸い形をしているが切れ込みはなく撥水性がある、ということである。
こうした違いがあると言われてみれば、あーそうなのか、と納得したりする。
睡蓮と蓮の違いについて、 <睡蓮と蓮のちがい>というサイトに詳しく書かれている。
「睡蓮」と聞くと、あの有名な絵を思い浮かべる人が多いと思う。
印象派を代表するフランスの画家クロード・モネの絵画である。
モネは1840年パリで生まれたが、5歳の頃から少年時代の大半をノルマンディー地方のル・アーヴルで過ごしている。
幼い頃から絵がうまかったモネは、1858年頃、地元のル・アーヴルで活動していた風景画家ウジェーヌ・ブーダンと出会い、その後の人生に大きな影響を受けることになる。
ブーダンは、キャンバスを戸外に持ち出し、陽光の下で海や空の風景を描いていた画家であった。
ブーダンから、油絵を勉強しようと誘われたことから、モネは油絵に取り組み始め、画家としての一歩を踏み出すことになった。
その後、1859年にパリに出て絵の勉強を始めるが、そこで、ピサロ、シスレー、バジール、ルノワールといった多くの仲間と出会い、やがて彼らと共に印象派の画家としての基盤を確立していくことになる。
モネは数多くの「睡蓮」の絵を描いているが、そのほとんどは晩年の作品である。自宅の庭に睡蓮の池を造り、ここで多くの「睡蓮」を描いたのである。
詳細はウィキペディア(Wikipedia)<クロード・モネ>を参照
最近、ここで写真を撮る人は増えたように思うが、絵を描いている人はまったく見かけない。
現代のクロード・モネは現れるだろうか。
雲行きは怪しいままである。
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