それは突然のように見えた。
あの休眠中だったドウダンツツジの冬芽から、若い緑色の葉と白い花が顔を出してきた。
4月の中頃から、桂島緑地のドウダンツツジは、ピンク色だった冬芽に変化が現れ、枝ばかりだった木に彩りが加わってきた。
あの小さな冬芽の中から、薄い緑色の葉と白い花が、長い間この時を待ちわびていたかのように、一斉に飛び出してきた。
まるで、手品師の手のひらの中から、白い鳩が飛び出してきたような驚きである。
あっという間の変化であった。
白い花と言ってもこの頃はまだ、少し淡い緑色を含んでいるように見える。
葉もまだ薄い緑色をしていた。
ドウダンツツジはツツジ科ドウダンツツジ属の植物である。
ウィキペディアによると、「ドウダン」は、枝分かれしている様子が昔夜間の明かりに用いた灯台(結び灯台)の脚部と似通っており、その「トウダイ」から転じたもの、と記されている。
さらに、ドウダンツツジの特徴が以下のように記されている。
落葉広葉樹。低木で、大きくても3メートル程。
ウィキペディア<ドウダンツツジ>
本州、四国、九州の温暖な岩山に生えるが、自生地は少ない。
庭木や植え込みとしてはごく普通に植えられる。
寒冷地でも耐えるが、関東以西の温暖な地に多く植えられる。
花期は、葉が出てから約1週間後(4月上旬から5月中旬頃、地方によって違う)。
花序は散形花序である。花は、白色、釣り鐘のような感じで、5ミリメートル程の大きさ。葉は、菱形に近く、大きさは通常約2センチメートル (cm)、大きなものは、約5 cmになる。
ツツジ科の特徴として根が浅いので、乾燥に弱い。
新緑、花期、紅葉と、見時が多い。
紅葉は寒冷な地で10月中旬から11月上旬頃、温暖な地で11月中旬から12月中旬頃であり、まっ赤に紅葉する。
5月に入ると、葉の色はいっそう深くなり、枝の隙間を埋めるようになり、花はますます白さを際立たせてきた。
小さな釣り鐘のような白い花。なんともかわいらしい感じがする。
秋の紅葉とはまた違った美しい姿である。
白い花の見頃は5月いっぱいぐらいだろうか。
ドウダンツツジと言えば、秋の紅葉を思い浮かべていたが、これからは冬の冬芽と春の白い花も忘れないだろう。
寒い冬を乗り越えてきた冬芽から、新しい葉や花を出すその命の力強さと不思議さを、改めて知る思いである。
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