宮城県の緊急事態宣言が解除になった5月の中頃、久しぶりにカメラを手にして訪れた。
長い外出自粛のせいか、いつの間にか野に咲く花もすっかり変わっていることに、改めて驚かされる。
桂島緑地にアヤメの花が咲く
桂島緑地の南側に位置する場所に、アヤメの花がたくさん咲いていた。
その凛と伸びた緑色の茎の先に、紫色の花が鮮やかである。
以前に来た時は、まだ小さな芽がきれいに並んでいたような気がする。
しばらく見ないうちに、生長するのは早いものだ。
バス通りの歩道からもよく見えるので、このアヤメの花を見つけると降りて来て、スマホで写真を撮っていく人もいる。
ここが散歩コースになっていて、毎日のようにここを通る人も、もちろん楽しんでいる事だろう。
四季折々の草花が心身を癒してくれることに、感謝したいものである。
さて、これは本当にアヤメなのだろうか。
これに似た花がある。
ハナショウブとカキツバタ。共にアヤメ科アヤメ属の多年草である。
アヤメ、カキツバタ、ハナショウブの見分け方
何が違うのか、見分け方があるのだろうか、この機会に少し調べてみた。
花びらの模様や生育する適地に特徴があるようだ。
以下にそれぞれの大まかな特徴を列記する。
アヤメ(菖蒲)
- 花の特徴は、外花被片(がいかひへん)に網目模様がある。
ちなみに、外花被片とは花の外側にある萼(がく)のことで、これが外側に垂れ下がっていて内花被片(花弁)と同じ色をしている。 - 適地は、乾いた所に育つ。
- ショウブ(菖蒲)とは、同じ漢字を当てているが別物である。
ショウブは川や沼などに生えているサトイモ科(別の分類ではショウブ科)の多年草で、葉は似ているが花は全く違っている。
茎葉の全体から芳香があり、端午の節句に菖蒲湯として用いられてきた。
カキツバタ(燕子花/杜若)
- 花の特徴は、内花被片が細く直立し、外花被片には網目模様がなく、白い目の形をした斑紋がある。
- 適地は、水中や湿った所に育つ。
- 江戸時代の前半に品種改良されてできた古典園芸植物の一つ。
ハナショウブ(花菖蒲)
- 花の特徴は、外花被片に網目模様がなく、黄色い目の形をした斑紋がある。
- 適地は、湿った所に育つ。
- ノハナショウブ(野花菖蒲)が原種で、江戸時代の中頃から園芸種として改良されて種類も多い。
慣用句「いずれアヤメかカキツバタ」
「いずれアヤメかカキツバタ」という慣用句がある。
アヤメとカキツバタは似ていて区別がつきにくいところから、どちらも美しく優れていて優劣がつけにくいこと、選択に迷うことのたとえとして使われている。
平安時代の伝承によるところから来ているようだが、詳しくはわからない。
昔からこの区別は難しいのだろう。
おそらく桂島緑地のこの花はアヤメである。
なんとなくわかったような、難しいような、しっくり来ない感じがする。
実際にアヤメの花は見ているが、カキツバタとナハショウブの花を見ていないためだろう。
機会があればどこかの公園で探してみたいと思うが、はたして区別が出来るだろうか。
<主な参照サイト>
RICOH Communication Club ブレイクタイム
『菖蒲(あやめ)・菖蒲(しょうぶ)・かきつばたの違い』
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