「大倉の桜が満開だったよ」
4月の暖かな日曜日の昼下がり。こんな噂を聞いて、桜を見に行ってきた。
大倉とは大倉緑地のことで、仙台市泉区にある緑地である。
泉パークタウンの東端にある桂地区と、東北自動車道との間に位置している。
この緑地はバス通りに面していて、反対側の歩道でも桜が満開である。
気のせいかもしれないが、緑地の前を通る車は、少しゆっくり走っているように見受けられる。
横断歩道を渡ると緑地側の角に、三角の形をした小さな広場がある。そこに、青いベンチが緑地に向いて設置されている。
ここからは、緑地の全体を見渡すことができ、特等席かもしれない。
バス通りから住宅地に入っていく道路があり、その車道の手すりの内側に沿って、桜の木が並んで植えられている。
どの木も満開である。
緑地の中は、広場らしき場所がほとんど無く、ほぼ全てが斜面になっている。
桜の木の傍に、大人二人がかろうじて並んで歩けるほどの、幅の狭い小道がある。
ほとんどの人が、この小道を行き来している。
上ばかり見ていると危険である。特に、すれ違うときに気をつけないと、斜面を転がってしまいそうだ。
もっとも、池の手前にはフェンスがあり、池に落ちることはなさそうだ。
斜面の下側にも桜の木があり、桜の枝が大きく手を広げているようにも見える。
下から見上げるのも良し。上から見下ろすのも良し。
緑地の北側からの眺めは、遠くの街並みまで見えて壮観である。
遠くから見ても、近くで見ても、どこから見ても、桜の花は絵になるものである。
桜の花を見渡しながら、桜の花の下でお弁当。
これは今だけの贅沢ではないだろうか。
バス通りと反対側にもちょっとした広場があり、あずまやの下のベンチで休憩できるようになっている。
そこからは、レンギョウの黄色い花と共に、桜の花を見ることができる。
バス通りから住宅地に入った道路からは、満開の桜並木を見ることができる。
この辺に住んでいる人は、毎日この桜を見ていることだろう。
本当の特等席は、この地に住んでいる方の家なのかもしれない。
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